コラム

COLUMN

自走式駐車場と設置施設の関係性

ショッピングモールやホテルなどには、多層階になっている立体駐車場が併設されています。
その中でもドライバー自らが駐車場内を走行する、自走式駐車場が採用されていることが多いです。
普段何気なく利用している自走式駐車場には、実はいくつか種類が存在しています。

この記事では、自走式駐車場に焦点をあて、「商業施設」や「宿泊施設」といった用途別に、どの種類の自走式駐車場がおすすめかを解説し、参考になる過去の事例についてもご紹介いたします。

用途別に見たおすすめの駐車場

自走式駐車場には、大きく分けて「フラット式」「連続傾床式」「スキップ式」の3つのタイプがあります。
それぞれどのような特徴があり、どのような用途の施設におすすめかをご紹介いたします。

商業施設

ショッピングモールなどの商業施設には、「フラット式」の自走式駐車場がおすすめです。

フラット式の特徴

フラット式の自走式駐車場は、各階をスロープでつないだタイプで、もっとも一般的な構造です。
スロープの勾配は緩やかに造られておりその分スペースは必要とするものの、各階の見通しがよく駐車位置などを把握しやすく、サイン看板を見落とす心配もありません。
駐車スペースがフラットな構造のため、駐車のしやすさが特徴です。

フラット式をおすすめする理由

駐車スペースがフラットなため、ショッピングカートを押しながら場内を歩行できます。
大型の商業施設などは、多くの方がたくさんの荷物を持って駐車場内を歩行します。
車に荷物を積むことが多くなり、さらにはベビーカー利用のファミリーも大勢いらっしゃいます。
大勢の利用者を想定しているため、ゆったりとしたスペースを確保しており、入出庫が重なっても他の自走式駐車場と比較して混雑しにくいです。

そのほかの自走式駐車場のタイプに比べると収容台数は少なくなりますが、その分利用者にとっては優しい造りになっています。

宿泊施設、遊戯施設、パチンコ店

ホテルなどの宿泊施設や、ボウリング場などの遊戯施設には、「連続傾床式」の自走式駐車場がおすすめです。

連続傾床式の特徴

連続傾床式の自走式駐車場は、駐車スペース自体がスロープになっていて、駐車と昇降の双方を兼ね備えています。連続傾床式は、もっとも収容台数の効率がよいのが特徴です。

連続傾床式をおすすめする理由

宿泊施設や遊戯施設は、繁華街や駅などの利便性の高い立地に建設されるケースが多くなります。
そのため広大なスペースを確保することが難しく、収容台数の効率が求められます。限られたスペースでも、収容台数を確保できる連続傾床式がおすすめです。

また、宿泊施設や遊戯施設は一度の利用時間が長くなり入出庫の頻度が少ないため、入出庫の時間が集中するといった心配も少ないです。

病院・集合住宅

病院や集合住宅には、「スキップ式」の自走式駐車場がおすすめです。

スキップ式の特徴

スキップ式は、駐車スペースの片面は1階・2階〜、もう一方は中2階・中3階〜となっており、横から見ると半階ずつ互い違いに上り下りする構造です。
各フロアの段差は半階分なので、スロープの距離を短くでき、その分のスペースを効率よく活用できます。
傾斜や段差のある敷地に最適で、敷地の形状を無駄なく利用できます。
駐車スペースは、フラットになっているため駐車しやすいです。
フラット式の駐車のしやすさと、連続傾床式の収容効率がバランスよく備わったタイプです。

スキップ式をおすすめする理由

病院や住宅は、ご年配の方を含めて幅広い年代の方が利用されます。
車いすやベビーカーの利用者ももちろん多いでしょう。
そのため、駐車のしやすさといった面は優先度が高くなります。

一方で、街中など敷地の確保が難しい立地に建設しなければならないケースも多いため、バランスのとれたスキップ式がおすすめです。

空港の自走式駐車場の事例

自走式駐車場の種類を検討する際には、収容台数や周辺環境の状況、利用者が求める機能性にも配慮しなければなりません。下記は参考となる事例です。
2022年12月27日の熊本日日新聞に掲載された記事をご紹介します。

引用:
新ターミナルビルの工事に全国旅行支援も重なり、熊本空港(益城町)の駐車場は週末を中心に混雑がひどいが、立体駐車場を使う際にはさらに注意が必要になる。
一度フロアに進入すると、満車だった場合、いったん1階まで戻らないといけない方式だからだ。
熊日の「SNSこちら編集局」(S編)にも「なぜこんな不便な作りになっているのか」(宮崎市、会社員・女性、43)といった声が寄せられている。
 
1階まで戻らないといけないのは、階を移動するスロープをはじめ、上る車と下りる車の動線を完全に分けて一方通行にしているからだ。
運営する熊本国際空港は「合流地点が少なく事故防止につながる。安全面を考慮した」と理解を求める。
上りのスロープから各階に進入する場所には、車の出入りを感知して「満車」か「空車」かを知らせる電光掲示板と「一度この階に入ると他の階には移動できません」という注意書きが掲げてある。
しかし、満車の表示を見落としたとみられる車がフロアを周回した後、1階に戻る様
子もけっこう見かける。
熊本の「空の玄関口」だけでなく、「陸の玄関口」のJR熊本駅の新幹線口立体駐車場(第2駐車場)も同じ方式を採用している。
利用時に混乱したという熊本市の50代パート女性は「『空』だと思って進入したのに、どこにも空きがなくて…。上に行く通路には通行止めの看板があるし、もうパニックになりそうでした」と体験を語る。
運営するJR熊本シティは導入理由を「場所の制約がある中でも駐車台数を確保できるため」と回答。満車のフロアを経由せずに直接上の階に行けるため「混雑が生じにくい」ともした。

引用元:熊本日日新聞 WEB版| 2022年12月27日

本記事内で述べられている、一度駐車場に進入すると他の階に移動できない理由は、「安全上、すれ違い時に衝突などの事故が起こりづらいよう、自動車の導線を分けているため」です。
(Wスロープ フラット式とよばれる)スペースには限りがあるため収容台数を確保しつつ、安全面にも配慮しなければなりません。
しかし利用者にとっては、施設側の条件などは知るよしもなく、駐車場の構造やサイン看板が分かりにくいとストレスにつながってしまいます。
そのため、利用者の安全性や収容性に加えて、快適性といった面もとても重要になるのです。

まとめ

商業施設や病院など、用途によって必要となる機能は異なるはずです。
自走式駐車場の種類を把握して用途に応じて選定できれば、安全性や快適性へと繋がり、利用者が施設に対して抱くイメージも向上するでしょう。

例えば、収容台数が多くすぐに駐車できても施設から遠く離れていれば不便ですし、買い物した荷物をゆっくりと車に積めないとストレスに感じてしまいます。

もちろん敷地の形状や周辺の環境によっても、自走式駐車場のタイプは左右されます。
さまざまな条件をクリアし、必要な機能性を備えた駐車場を建設できれば、利用者の施設に対するイメージアップも可能となります。

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